易経を学び始めると、必ず出てくる言葉が「64卦(六十四卦)」です。
64種類もの卦があると聞くと、「全部暗記しなければならないのだろうか」「難しそうだ」と感じる方もいるでしょう。しかし、64卦は最初から64個の別々のものとして作られたわけではありません。
易経の基本となる陰と陽から八卦が生まれ、その八卦を上下に組み合わせることで64卦になります。仕組みを理解すると、64卦はぐっと分かりやすくなります。
この記事では、易経初心者の方に向けて、八卦から64卦が生まれる仕組みと、64卦をどのように人生や仕事の判断に活かしていくのかを解説します。
易経の「64卦」とは?
64卦とは、易経で人や物事の状態、時の流れ、変化の可能性を表す64種類の象徴です。
易経では、単純に「吉か凶か」を見るだけではなく、今はどのような時なのか、どのように行動することが適切なのかを考えます。
進む時もあれば、待つ時もあります。勢いよく行動する時もあれば、力を蓄える時もあります。64卦は、そうしたさまざまな状況を読み解くための体系と考えると理解しやすいでしょう。
64卦はどのように作られているのか
64卦を理解する第一歩は、易経の基本となる「爻(こう)」です。
爻には、一本の実線で表す陽爻と、中央が切れた線で表す陰爻があります。この陰と陽を3本組み合わせることで8種類の基本的な形が生まれます。これが八卦(はっけ)です。
さらに八卦を上と下に一つずつ配置します。8種類×8種類ですから、8×8=64となり、64卦が成立します。
まず知っておきたい「八卦」の基本
八卦は、乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の8種類です。それぞれ天・沢・火・雷・風・水・山・地などの自然現象を象徴します。
ただし、八卦は自然現象だけを表しているわけではありません。人の性質、身体、家族、方位、季節、場所、出来事など、さまざまな事象を読み解く基本的な象徴として使われます。
そのため、八卦の意味を理解することは、64卦を読み解くための重要な基礎になります。
八卦を上下に組み合わせると64卦になる
64卦は、上に置かれる八卦と下に置かれる八卦の組み合わせによって構成されます。
たとえば、上も下も「乾」であれば、第1卦の乾為天(けんいてん)になります。乾は天や力強い活動性などを象徴し、乾為天ではその性質が重なります。
詳しくは、第1卦・乾為天の解説をご覧ください。
反対に、上も下も「坤」であれば、第2卦の坤為地になります。このように上下の八卦の組み合わせによって、それぞれ異なる状況や変化の意味が生まれます。
64卦は吉・凶だけを見るものではない
易経というと「良い卦」「悪い卦」を判断する占いだと思われることがあります。しかし、易経を学ぶうえで大切なのは、単純な吉凶だけではありません。
同じ状況でも、今動くべきなのか、待つべきなのか、方向を変えるべきなのかによって判断は変わります。
易経の大きな特徴は、物事は常に変化しているという前提に立っていることです。現在の状態を知り、その先にどのような変化が起こり得るのかを考えるところに、易経を学ぶ実践的な価値があります。
本卦から「今の状況」を読む
易を立てて最初に得られた卦を、本卦として読みます。本卦は、現在置かれている状況や、その問題を取り巻く基本的な流れを考えるための手掛かりになります。
重要なのは、卦名だけを見て結論を急がないことです。その卦が示している「時」の性質を理解し、自分の現実の状況と照らし合わせて考えていきます。
爻から「これからの変化」を読む
一つの卦は6本の爻で構成されています。下から初爻、二爻、三爻、四爻、五爻、上爻と読み、それぞれが同じ卦の中でも異なる段階を示します。
64卦にそれぞれ6つの爻があるため、64×6=384の爻があります。
つまり、64卦を知るだけでなく、どの段階にいるのかまで見ることで、より具体的に変化を考えられるようになります。
64卦を人生や仕事の判断に活かす
易経は、未来を一つに決めつけるためのものではありません。
転職するか、事業を進めるか、人間関係をどうするか、新しいことを始めるか。人生や仕事では、正解が一つではない判断に何度も直面します。
そのような時に易を立て、現在の「時」と変化の方向を読み、自分自身で行動を決める。そのための判断材料として易経を活用することができます。
初心者は64卦を全部暗記する必要がある?
最初から64卦すべてを丸暗記する必要はありません。
まず陰陽の考え方を知り、八卦の基本的な性質を理解し、実際に卦を立てながら一つずつ64卦に触れていく方が実践的です。
繰り返し使ううちに、それぞれの卦が持つ性質や変化のパターンが少しずつ身についていきます。
易経を体系的に学びたい方へ
易経を学ぶ目的は、64卦の意味を暗記することだけではありません。
自分で易を立て、今の状況を読み、人生や仕事の行動判断に活かせるようになることが大切です。
清家龍征の易経講座では、初心者の方にも分かるように、八卦から64卦、さらに384爻へと段階的に学びながら、実際の判断に易を活用する方法を学びます。
詳しい内容は、易経講座|東京・オンラインをご覧ください。

